強い毒は薬ではない
夜中にテレビを見た
多分、ニュース番組のコーナーの一つなんだと思うけど途中から見たので、なんの番組だったのかはわからない
高年齢者の夫婦の痴呆症についてのドキュメンタリーだった
内容は、奥さんが痴呆症にかかり、娘とホームヘルパーと一緒に介護をする94歳の夫にフォーカスが当てられてたものだった
痴呆症になった奥さんを旦那さんが死ぬまで一生面倒見ていく
みたいな内容で締めくくられて、一見すると夫婦愛のような形で終わっていたのだけど
痴呆症なった人が癇癪を起こすシーンなどが生々しく画面に映し出されていて
正直、見るに耐えないものだった
なぜテレビがこんなにも個人が病気の状態になっていることを世間に知らしめなきゃいけないのかとも思った
当人に対しての人権は、剥奪されたのかとも思ったし、その奥さんが家族に対して尽くしてきたことや生い立ちなんかをそっちのけで、ただ一人の痴呆症だということに対してだけフォーカスを当てていることが納得いかなかった
ジャーナリズムなんかは僕はわからないし
介護を必要としている家族はいなくて大変さなどは想像することしか出来ないのだけれど
奥さんが癇癪を起こして言ってた
「みんなで私をバカにしている」
という一言は家族だけじゃなくてテレビクルーにも向けられていた一言だと思う
テレビのフレームを越えた領域は僕らには届かないし、知る由もないのだけど
痴呆症に対しての認識を改めることや夫婦愛に対して何かを伝えたかったのであれば方法はいくらでもあるように思えた
強い毒にあてられた僕は長くは生きたくないなとしか思わなかった